思春期の鋭すぎる感受性というのは
いつの時代も変わらずですが、
すこしずつ変化していると感じるのは
「社会性」の捉え方かと思います。
すこし前は「空気を読む」「読まない」「読めない」
みたいなことでしたが、
今はもっと細分化してレイヤーが増えていて、若い人ほど
良く考えているな、と思うことが多いです。
「自分と他人(社会)」の距離の取り方が
清潔であるためのマニュアルが
たくさんあるような。
表層の「失礼のない態度」と内側の「個」とのバランスを
無意識にコントロールして、目配せしないといけない項目を
ものすごい集中力でやりくりしているのだと思います。
ふとその糸が切れたときどうなるのか。
コップの水があふれるというやつです。
彼女たちの溢れる感情が、
前向きなものとして昇華されてほしい。
「好きなものを好き」といえるつよさを
描いていけたらと思っております。
(山田尚子監督の企画書より)

2011年に公開され興行収入19億円の大ヒットとなり、 社会現象を巻き起こした『映画けいおん!』(11年)、第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞のほか、 2017年アヌシー国際アニメーション映画祭長編コンペティション部門に入選、 国内外問わず高い評価を受け、興行としても23億円の異例のヒットを記録した名作『映画 聲の形』(16年)。 両作品の監督を務めた山田尚子は、些細な日常を瑞々しく鮮やかに描く稀有な映像センスと、 小さな心の揺れ動きさえ表現していく繊細な演出で、全世界から最も脚光を浴びるアニメーション監督の一人となった。 待望の最新作となるオリジナル長編アニメーション映画『きみの色』は、山田監督が最も得意とする思春期の物語。 少女たちそれぞれが向き合う自立、葛藤、恋の模様が、まるで絵画のような美しい映像で描かれる。 今作で脚本を務めるのは、スタジオジブリや、京都アニメーションの数々の大ヒット作品を手掛け、 山田監督とは「けいおん!」シリーズ以降、幾度となくタッグを組む吉田玲子。 音楽・音楽監督は『映画 聲の形』『リズと青い鳥』(18年)など山田監督作品のほか、 話題作「チェンソーマン」(テレビ東京系/22年)のサウンドトラックを担当する作曲家・牛尾憲輔。 そして、キャラクターデザイン・作画監督を小島崇史、キャラクターデザイン原案をダイスケリチャードがそれぞれ務める。 声の出演として、トツ子に鈴川紗由が、共にバンドを組むきみに髙石あかり、ルイに木戸大聖が決定。 1600人に及ぶオーディションから選ばれ、まるで主人公たちとその姿が重なるかのような顔ぶれに大きな注目が集まる。 そして3人を導く物語のキーマン・シスター日吉子の声を俳優・新垣結衣が演じる。

年代を問わず、あらゆる人々の心の琴線に触れる普遍的なテーマと嘗てない映像表現、そして、物語にシンクロする音楽。 その三者が織りなす青春タペストリー、映画『きみの色』。 まさにいま、アニメーション映画の新たな時代が動き出す。

高校生のトツ子は、人が「色」で見える。
嬉しい色、楽しい色、穏やかな色。
そして、自分の好きな色。

そんなトツ子は、
同じ学校に通っていた
美しい色を放つ少女・きみと、
街の片隅にある古書店で出会った
音楽好きの少年・ルイとバンドを組むことに。

学校に行かなくなってしまったことを、
家族に打ち明けられていないきみ。
母親に医者になることを期待され、
隠れて音楽活動をしているルイ。
トツ子をはじめ、
それぞれが誰にも言えない悩みを抱えていた。

バンドの練習場所は離島の古教会。
音楽で心を通わせていく三人のあいだに、
友情とほのかな恋のような感情が生まれ始める。

周りに合わせ過ぎたり、
ひとりで傷ついたり、自分を偽ったり―
やがて訪れる学園祭、そして初めてのライブ。
会場に集まった観客の前で見せた三人の「色」とは。

2009年テレビアニメ「けいおん!」の監督に抜擢され監督デビュー、数々の社会現象を巻き起こす大ヒットを収める。2011年『映画けいおん!』にて長編映画初監督を務め、小規模公開にもかかわらず興行収入19億円を突破、第35回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞に輝く。その後、「たまこまーけっと」などの話題作で大躍進を続け、2016年には長編映画監督3作目となる『映画 聲の形』は累計動員177万人・興行収入23億円を突破する大ヒットを記録。同作は第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞のほか、アニメ映画祭としては世界最大規模のアヌシー国際アニメーション映画祭長編コンペティション部門入選を果たした。何気ない日常描写を瑞々しく描く映像センスと、繊細な映像演出で、現在のアニメーション界で最も高く評価されている監督のひとり。

1992年NHK創作ラジオドラマコンクールに入選し、脚本家デビュー。 1998年テレビアニメ「おじゃる丸」、1999年「おジャ魔女どれみ」シリーズなどに参加したことで高い評価を受ける。 その後、2002年に映画『猫の恩返し』、2009年テレビアニメ「けいおん!」などに携わり、 2014年には、東京アニメアワードのアニメオブザイヤー部門において脚本・オリジナル原作賞を受賞。 さらに、2017年、2021年、2023年にも同賞を受賞した。 近年では、『映画 聲の形』(16年)、『若おかみは小学生!』(18年)、 テレビアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(18年)の他、 2022年には山田尚子監督、サイエンスSARUと共にテレビアニメ「平家物語」を手掛けた。 オリジナル作品では、高い構成力でストーリーを紡ぎ、 原作のある作品では、世界観を壊さずにエピソードをより洗練されたものに仕上げる、多岐にわたって活躍する脚本家。

2008年、ソロユニット“agraph”名義でデビューアルバム「a day, phases」を発表。 バンド“LAMA”のメンバーとしても活躍するほか、電気グルーヴとの継続的な活動や様々なリミックス/楽曲提供/プロデュースを行う。 2014年、テレビアニメ「ピンポン THE ANIMATION」の劇伴を皮切りに、以降アニメ/実写を問わず多数のサウンドトラックを担当。 先鋭的にして静謐なサウンドで高い評価を集めている。 劇伴を務めた主なアニメ作品に、「日本沈没2020」(20年)、「サイダーのように言葉が湧き上がる」(21年)、「チェンソーマン」(22年)など。 山田尚子監督作品には、『映画 聲の形』(16年)で初参加。 以降、『リズと青い鳥』(18年)、「平家物語」(22年)と、唯一無二の音楽でその世界観を彩っている。

アニメーターとして数々の作品を手掛け、「DEVILMAN crybaby」(18年)第2・9話作画監督、 「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット 放課後のブレス」(23年)キャラクターデザインなど幅広く活躍。 「四月は君の嘘」(14~15年)第5話、「進撃の巨人 The Final Season Part 2」(22年)オープニングでは、 演出と作画監督に加えて原画すべてをひとりで手掛けている。 キャラクターデザイン・総作画監督に『きみと、波にのれたら』(19年)、『映画ドラえもん のび太の新恐竜』(20年)など。 山田尚子監督と初タッグを組んだ「平家物語」(22年)でも、 高野文子のキャラクター原案を繊細な描線と緻密な設定で見事にデザインしている。

2016年よりイラストを発表。 軽やかな描線とポップな色彩で女の子の日常を紡ぎ、若い世代を中心に海外からも注目を集める。 “三月のパンタシア”をはじめアーティストとのタイアップやアパレルとのコラボも展開。 Netflixの特別アニメーション「明日のアニメも、楽しみだ。」(20年)のキャラクターデザイン、 SixTONES「うやむや」(21年)MVのイラストレーションも手掛けている。 作品集に、「気化熱 ダイスケリチャード作品集」(18年)、「水槽 ダイスケリチャード メイキング&ワークス」(19年)、 「丑三ツ時 ダイスケリチャード作品集」(21年)がある。現在は活動休止中。

2005年12月27日生まれ、和歌山県出身。 20年、ユニバーサルミュージック初の女優・モデルオーディション「“ニュー・ヒロイン” オーディション」にて 2500名を超える応募者の中から特別賞に輝く。 23年、ドラマ25「クールドジ男子」(TX)でドラマ初出演、 『女囚霊』(鳴瀬聖人監督)で映画初出演を果たす。 若手俳優の登竜門として知られる「私の卒業プロジェクト」第5期の 映画『こころのふた〜雪の降るまちで〜』(北川瞳監督)のキャストに選出されるなど、期待を集める。

2002年12月19日生まれ、宮崎県出身。19年より女優として本格始動。 21年、『ベイビーわるきゅーれ』(阪元裕吾監督)のW主演で映画初主演。 主な出演作に、映画『わたしの幸せな結婚』(塚原あゆ子監督)、『Single8』(小中和哉監督) 『セフレの品格 決意』(城定秀夫/以上23年)、 『まどろみの彼女たち「Perfect・Nervous」』(佐野大監督/24年)、 ドラマ「墜落JKと廃人教師」(MBS)、「わたしの一番最悪なともだち」(NHK/以上23年)など。

1996年12月10日生まれ、福岡県出身。 17年、ドラマ「僕たちがやりました」(KTV)で俳優デビュー。 18年より、こども番組「おとうさんといっしょ」(NHK BSプレミアム)にて3年間レギュラーを務める。 22年、Netflixオリジナルシリーズ「First Love 初恋」で佐藤健が扮する並木晴道の若き頃を好演して一躍注目を集め、 23年の「僕たちの校内放送」(CX)でドラマ初主演。同年、『先生! 口裂け女です!』で映画初主演も果たす。 主な出演作に、ドラマ「ゆりあ先生の赤い糸」(EX/23年)、 「9ボーダー」(TBS/24年)、映画『大怪獣のあとしまつ』(三木聡監督)、『メイヘムガールズ』(藤田真一監督/以上22年)など。

1988年6月11日生まれ、沖縄県出身。 07年に主演した映画『恋空』(今井夏木監督)で第31回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。 『ミックス。』(石川淳一監督/17年)では第41回日本アカデミー賞優秀主演女優賞、第60回ブルーリボン賞主演女優賞を受賞。 主な出演作に、映画『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』(西浦正記監督/18年)、 『GHOSTBOOKおばけずかん』(山崎貴監督/22年)、『正欲』(岸善幸監督/23年)、 ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS/16年)、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22年)など。 待機作に『違国日記』(瀬田なつき監督/24年公開)がある。